2005年07月27日(水)
ポンちゃん─前編─
今朝の3時頃「
キーッ、キーッ
」という音が聞こえた。
「
新聞配達かな
」
半ば寝ぼけていたのだけれど、その音がいつまで経っても聞こえてくる。
音が気になって眠れない。
「
30分もうちの近所行ったりきたり?おかしいな。。。
」
窓から外を見てみる。・・・誰も居ない。
「
もしかしたら野良猫がどっかに挟まって鳴いているんじゃ?
」
心配になり、マンションの下まで降りた。
私が住んでいるマンションの隣と真向かいの土地では、
新しいマンションの建設工事が行われている。
ネコが機材に挟まれていないかチェック。、、、いない。
周辺の車の下などにいないかチェック。、、、いない。
でもどこかから、鳴き声は聞こえてくる。
わりと近くだ。一体ドコに???
耳を澄まし、再び鳴き声を待つ。
「
キーッ、キーッ
」
ハッ!と足元の排水溝(下水道?)を鉄柵越しに見てみると
なんとそこには○○○がっ!!
○○○と書いたのには理由がある。
私にはその排水溝の中にいる動物が、アライグマかフェレットのでっかいやつ、もしくはネズミのでっかいやつにしか見えなかったからだ。(まだ夜が空けてなかったので、よく見えなかったせいもあるが、私は動物オンチです)
その動物と目が合ってしまった。
とても可愛い目をして、こっちを見上げてまた鳴いた。
鉄柵を持ち上げて外に出してあげたいけれど、凶暴な動物だったら怖いしなぁ。。。
どうしよう!!パニック☆
考える間もなく家にいったん戻り、即110番。
警察に連絡することなのかどうかわからんが。
アレです。私の人生で、初110番です。
朝の4時に初110番。
ちょっと東北訛りの抜けない男性が電話に出た。
ケーサツ:「事件ですか?事故ですか?」
ワタシ:「えーと、事件、、、というか事件じゃないというか、排水溝にイヌとかネコとかではない動物がいて、それであの、ずっと鳴いているんです。」
ケーサツ:「大きさはどのくらいですか?」
ワタシ:「大きさはネコより少し大きいくらいで、でもあのイヌとかネコとかじゃないんですよ。あ〜、なんか見た事あるような気がするんですけど!モグラとか。あ、モグラは見た事ないんですけどイメージで。キツネでもないし、アライグマでもないし、でもなんかそういう顔の動物で、名前は思い出せないんですけど、、」
ケーサツ:「イヌとかネコとかじゃないワケですね?」
ワタシ:「そーなんです!イヌとかネコとかの類じゃないワケなんです!」
ケーサツ:「なるほど。ではすぐにそちらに警官向かわせますから、その現場にいてくださいー」
という訳で、住所と名前を聞かれ、私はひとり道路に佇んでいた。
警官が来るのを待っている間「一体、ワタシは朝っぱらから何をしているのだ?!」と頭が混乱してきた。
10分ほどして、自転車をギコギコ漕ぎながらおっちゃん警官1名が到着。
ワタシ:「すみません。こんな朝早くに、、、」
おっちゃん:「いえいえ。で。あ、この排水溝?なのね?」
なぜかこの警官も東北訛り。
先程電話で
「警官向かわせますから」
なんて言っておいて、
自ら現場に来たのではないか?というくらい訛りも声も似ていた。
おっちゃん:(鉄柵の中をのぞく)「ん〜?」
(○○○の姿が見えず)
ワタシ:「アレ?おかしいな。さっきまで居たんですけど」
おっちゃん:(鉄柵を持ち上げる)
(○○○がひょっこり顔を出す)
おっちゃん:「んぁあ〜・・・これは
タヌキ
だナァ〜」
ワタシ:「Σ(- -ノ)ノ エェ!?」
タヌキです。と言われても。
実物を間近で見たのは初めてで、思っていたより小さかった。
おっちゃん:「どっかから入ってきたんだナ、コレは〜」
ワタシ:「誰かが飼っていてココに捨てたわけではないんですかね」
おっちゃん:「ん〜こんな所にタヌキ住んでないからね〜誰かが飼ってて逃げ出したのかもしれんね〜。で、ココにいる、と」
ワタシ:「この子、保護してもらえるんですか?」
おっちゃん「ん、ん〜。警察の見解としてはね、捕獲しても動物管理課では飼えないからね、ん、ん、捕まえたら動物実験に使われるか、処分されるか、もしくは動物園に引き取ってもらえたとしても動物の餌になっちゃうと思うんだよね。うん。(←自分の言葉に頷いている)」
ワタシ:「え。じゃあこの子、どうしたら?」
おっちゃん「ん、ん。だから、捕獲しても動物実験に使われるか、処分されるか、動物の餌になっちゃうのよね。うん。(←説明が短くなってリピート)」
ワタシ:「あの、でもこの子、外に出たがってずっと鳴いてて、、、」
おっちゃん「うん。だから通報者のアナタがどうしたいか?ってことになるんだよね〜」
ワタシ:「ワタシの意見次第っ?!」
おっちゃん:(頷いてる)
ワタシ:「生きられないんだったら捕獲は無しってことで。でもでも、外に出られなくて鳴いてると思うんですよ。これ放置できないですよね。逃がしてあげたいんです。このふた(鉄柵)しばらく開けといて出てくるのを待つ、とかできないんですか?」
おっちゃん:「開けたままにはできないのね、法律的な問題で。それに落っこちゃう人がいたら危ないしね。子どもとか。」
ワタシ:「あの、じゃあどうしろと???」
おっちゃん:「アナタが飼う、というなら捕獲しても生きられるんだけどね〜」
ワタシ:「家でタヌキを飼うっ?!無理です!!」
おっちゃんおっちゃん「ん、ん。だから〜、捕獲しても動物実験に使われるか、処分されるか、動物の餌になっちゃうと思うんだよね。うん。(←リピート3回目)あとはこのままにするかだね」
ワタシ:「このままぁ〜?他に方法は・・・」
おっちゃん:「ないね〜逃げしてあげられれば一番いいと思うんだけどね。でもなかなか出てこないからね。で、ココは開けっぱなしにはできないんだよね、法律上」
え〜と、え〜と・・・ダメだこりゃ。
こんな会話をずっとしていて、私は頭が回らなくなっていた。
だけど、この警官が役に立たないということだけは分かったので
ひとまず何もしないことにした。
ずっと人間が喋っていたせいか、タヌキは姿を下水道に隠し、おとなしくなっていた。
家に戻ると、時計は5時半を回っていた。
うあぁ・・・。
私はベッドに横たわりながら
「ポンちゃん、どうか別の穴を見つけて外に逃げて!」
明けたての夜を窓から眺めながら思っていたのです。
〜「ポンちゃん─後編─」につづく〜
No.445
ちぐはぐな感じ。
No.
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