2000年06月03日(土)
流れるものを目で追って。
いらないもの全部
君にあげる
これも あれも それも もう
あたしには必要ないもの
見て
しゃぼんだま 買ってきたの
吹いたら ラベンダー色の空に染まって
ほら きれい
ずっと見ていたい
なのに
壊れて消えるよ
ねえ
満月の夜
月が本当にきれいで
がらにもなく
写真撮ってみたの
だけどちっとも
きれいじゃない
ただの蛍光燈にしか見えないや
だから破いて捨てた ひら ひら ひら
あのね
昔、誰かと人の跡残そうよって
雪に埋もれた
これ以上ないってくらい笑い合う
何度何回 繰り返しても
足跡さえ残らない
こんな日は続かない
冷たい頬にあつい涙
楽しいのに 苦しい
ほら
雨が降ったあと
地面にできた水たまり
覗き込んだ自分の顔と 空が映り
薄い雲が流れた
あたしはひとり 微笑んだ
明日もあさっても
流れるものを目で追って
たとえば 10年先
何を思って どこにいるだろう
手元には何も残らない
かたちないものはすべて
だけど それがすべて
さよなら
かたちあるもの
あたしには必要ないもの
あたしの心臓はよく眠る
明日もあさっても
流れるものを目で追って
No.308
ここにいないあなたへ。
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