2010年08月16日(月)

GO。


名前ってなに?
バラと呼んでいる花を別の名前にしても
美しい香りはそのまま

 ─「ロミオとジュリエット」シェイクスピア(小田島雄志訳)

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GO [DVD]

キャスト:窪塚洋介、柴咲コウ、山崎努、大竹しのぶ 他
監督:行定勲/脚本:宮藤官九郎/原作:金城一紀


ひっさびさに観た「GO」。
2001年に公開された映画です。
有名な映画なので、観た人も多いでしょう。
当時「おおっ!」と思った記憶があるけれど、
改めて観てもやっぱり素晴らしい映画だった。

この映画は、日本で生まれたコリアン・ジャパニーズ(在日韓国・朝鮮人)のクルパーこと杉原(窪塚)の恋の物語。
恋の物語なんだけれども、テーマは「在日」について。
クルパーの、家族・友情・恋そして自分の在り方について、
既成概念を捨て、円を突き破ろうと成長していく過程が見所です。
日常に一生まとわりつく偏見や差別。
根深くて重いテーマなのに、軽快にテンポ良く描かれています。
観終わった後に胸の中がスーッとするような映画。

お恥ずかしい話ですが、私は、在日韓国・朝鮮人についてとことん深く勉強した事がありません。だから「在日」という言葉の使い方にも無頓着でした。
ラストで、クルパーが桜井(柴咲)に向かって叫ぶシーンでそれを痛感します。
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俺は何人だ!何者だよ!答えろよ!俺は何者だよ!
(桜井)─在日韓国人。
どうして何の疑問も無く「在日」って言えるんだよ。
「在日」って呼ぶってことはなあ、俺がいつかこの国から出て行くよそ者だって言ってるようなもんなんだよ!それわかって言ってんのか!
名前つけなきゃ不安で仕方がないんだろ!
なあ!?じゃあ、俺はライオンだよ!
ライオンは自分のことライオンだなんて思ってないからな!
お前らが勝手に付けた名前じゃないか!
調子こいて近づいてみろ、頚動脈に咬みついて咬み殺してやるぞ!
名前なんて何だっていいんだよ!

〜以下略〜
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映画の中にも出てきますが、外国人登録証を携帯していないと「1年以下の懲役もしくは20万円以下の罰金」があるなんてことも知りませんでした。
そんな無知な私が、この映画に共感する理由は、
国籍や民族がなんだろうが悩む所は同じであるという事。
様々な問題を自分に置き換えて考えられるように、
この作品は作られているように思います。

最後に、父親(山崎)が小学生のクルパーに向かって言う
印象的なセリフをご紹介します。
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左腕をまっすぐ伸ばしてそのまま一回転しろ。
今、お前の拳が引いた円の大きさが
だいたいお前という人間の大きさだ。
その円の真ん中に居座って、
手の届く範囲の物にだけ手を伸ばしてりゃ、
お前は傷つかずに生きていける。
そういう生き方、どう思う?
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そういう生き方、どう思う?

観た事がある人はもう一度、
観たことが無い人は是非観てください。
きっと、何か感じることがあるはずだから。
No.2840 たまには映画 天使